就活という茶番劇をあえてポジティブに捉えてみる

12月1日から2015年新卒の就職活動が開始された。ニュースではリクナビやマイナビが主催する合同説明会の様子が連日のように放映されている。そこには、リクルートスーツを着た若者たちがゴミのように群がる光景が映し出されている。企業ブースでは、意識の高い学生達が企業の説明員に対して必死でアピールをする。大して中身の無い説明を必死で頷きながらメモしたり、大して興味もない「御社の成長戦略」を質問してみたり。僕もちょうど3年前はそんな茶番劇の最中にいた。何の気の迷いか合同説明会に参加したりもした。今思うと、あんなの1ピコも参加する価値は無かったと断言できる。あれに参加しようがしまいが、内定出る奴には内定出るし、出ない奴には出ないのだ。

もはや誰がどう見ても滑稽以外の何物でもない日本の新卒就活市場。そのバカらしさに気づいていながら、その輪廻から逃れられない企業と学生たち。どうせ逃れられないんだから、割りきってポジティブに捉えてみればいいじゃない。今日は、僕が3年前の就活を通して成長できた数少ない事柄を書いてみる。就活生は読むとタメになるかもしれないよ!

でっち上げ能力の向上

就活になると、とにかく自分の過去の行動や意見に対する動機を問われる機会が多くなる。面接やエントリーシートでは、過去の自分がとった行動に対する動機を問う設問が頻出する。「なぜあなたはそのときその行動をとったんですか?」「なぜあなたはそのときそう思ったのですか?」と言ったように。こっちからしてみれば「知るか覚えてねえよボケ」なんだけど、それでももっともらしい理由を無理やりにでも作り出さなければいけない。そういやこう思ってたかもなーみたいなあやふやな感じでも、そうであったと既成事実化して虚構の自分を創造する。これが世に言う自己分析と呼ばれるやつ。まさに茶番。

茶番ではあるんだけど、意外と社会に出るとこういう場面に出くわすことが多い。自分の意見や行動に対して、上司が「なんでこんなことしたいの?」とか「なんでそう思うの?」とか質問してくることはよくある。「いや理由なんかねーよ」と答えたいんだけど、それをグッと我慢して考える。考えて捻り出す。たとえ実際の動機と異なっていたとしても、論理的に筋道が通った回答をでっち上げる。そして、でっち上げた回答をドヤ顔で報告する。まさに僕らが就活でやってきたことじゃないか。つまり、僕らは就活を通し、知らず知らずのうちに社会人として必要なでっち上げ能力を高めていたということになる。就活ばんざい。

準備力がつく

僕みたいなスクールカースト下位だった人間にとって、会議などでプレゼンをすることは苦痛でしかない。カースト下位の人間は、人前で自分を晒すのを極度に恐れるのだ。恐いからこそ準備をする。準備をすればなんとか乗り切ることはできる。それは入念であればあるほど良い。

このスタンスは就活の面接のときに身につけたものだ。僕は長期的な思考能力には比較的長けているが、瞬発的な思考能力は皆無だと自分で思っている。要はアドリブ力が無いということ。面接には絶望的に向いていないと言える。だからこそ、事前に入念な準備をしておかなければならなかった。想定される質問をリストアップし、それに対する回答、更にその回答に対して想定される質問、その質問への回答、……といったように、深堀りを続ける。そうすれば、全ての質問に対して十分な回答が用意できる。たとえ想定外の質問が飛んできたとしても、用意しておいた回答を応用すればなんとか答えられる場合が多い。

このような準備力というのは、社会人になって結構役立つものだ。最近になって特にそう感じるようになった。就活ばんざい。

さいごに

クソみたいな就活だったけど、振り返ってみれば成長できた部分もあったなぁという話。もしこれを読んでる就活生がいたら、ぜひポジティブな気持ちで頑張って欲しい。もし万が一、就活で失敗したとしても、そこで人生が決まるわけではない。新卒でしぶしぶ入った会社が合わなかったら辞めちゃえばいい。僕も新卒2年目で転職を経験したわけなので。新卒至上主義とは言われるものの、ちょっとぐらいの寄り道は許容してくれる社会になってきている。気楽な気持ちで最後まで頑張って欲しい。

 

就活のバカヤロー (光文社新書)

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